ドルーズ派について

 イスマイリ派のもう1つの分派は、シリアのドルーズ族の宗教である。
シリア以外のレバノンイスラエル、ヨルダン、イラクなどの諸地方にも分布している。
この宗教の中心地は、シリア南部のスウェイダで、両次大戦間、シリア駐屯のフランス軍は、激しい自治の理想に燃えた、このドルーズ族の民族主義者といざこざを起こし、鎮圧するのに大いにてこずった。
ドルーズ派聖典は、この派の開祖と目されている、アル-ハキームが書いたといわれる、
『キタブ-エル-ヒクメット』であって、
この聖典の一部は、17世紀頃、あるシリアのキリスト教の博士によって、密かに盗みだされて、ヨーロッパにもたらされて、ルイ14世に献上されたという。
この派の開祖アル-ハキームはもともとエジプトにおけるファーティマ朝の第6代カリフであったが、
自ら神の化身であると宣言したが、その妹の陰謀で暗殺されたという。
このハキームの腹心の部下に、ペルシャ人のダラズィーという者があり、大いに普及に努力したので、彼の名に因んでドルーズ派と呼ばれた。
 
澁澤龍彦