ナチスの権力掌握の技術

ナチスの権力掌握の技術は、初め1922年のイタリア・ファシストの実例に依拠したものだった。
しかし、ナチスのそれは、現代のマスコミの手段と、強制と説得、テロと宣伝、

 "疑似合法的" な措置

、詐欺、暴力の結合をイタリアの場合より、もっと断固として、もっと成功裡に利用した。
制度的、伝統的な安全装置の効力への信頼に対して-既成事実と宣伝によって、膨らまされた、外見的な成功の力を-対置した。

 そして権力掌握に成功すると、そこに生まれる支配体制は、政府のポストのごく僅かなの者が
ファシスト(1922)もしくは、ナチス(1933)の手に握られているに過ぎない場合でも、内部から除去できない性質のものとなった。
すでに権力掌握に至るまでの、『前線地』によって"決着"がつけられていたのであって、その後になれば、もはや外部からの打倒の道しか残されてなかったのである。